地域おこし協力隊の募集と被災地の復興支援制度の募集があったらどちらを選びますか?
僕なら迷わず、被災地の復興支援員制度です。なぜなら、被災地は様々なチャレンジができる環境にあるからです。
選挙の結果次第で変わるかも知れませんが、地域おこし協力隊を安倍首相が3年で3倍の増やすといっています。
今後地域おこし協力隊の募集が増える際に、どのような視点で選択すれば失敗しないか、復興支援員制度で設立された釜援隊を事例に考察してみます。
(田舎暮らしへのあこがれだけでは、地域と上手くやっていけない)
地域おこし協力隊とは、復興支援員制度とは
そもそも両者の違いは何でしょうか?それぞれのウェブサイトで比較すると…
地域おこし協力隊とは
人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・定着を図ることで、上記のような意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とする取組です。
復興支援員とは
(1)目的
被災者の見守りやケア、地域おこし活動の支援等の「復興に伴う地域協力活動」を通じ、コミュニティ再構築を図る
地域おこし協力隊は、「定住・定着」を掲げていますが、復興支援員はそれは全く掲げていません。
復興のためのコミュニティ再構築が最大の目的です。
復興支援員制度を選ぶ理由
被災地では、震災前から過疎高齢化や産業衰退などの課題が内在しており、震災を機にそれらは一気に進行し、復興の過程で避けては通れないものとして顕在化しました。
その一方で被災地には、震災から3年以上を経て減ってきたとはいえ、ボランティアや専門家といった人材、寄付金や助成金等の資金など様々なリソースが集結してます。釜石市では、ハードの復興も目に見える形で進行しており、さらに地元からも復興に向けて立ち上がった人々も現れ、地域の将来に目が向いている人々が増えているように感じます。
冒頭で挙げた被災地は様々なチャレンジができる環境にあると感じたことが、僕が釜援隊に参画した大きな理由の一つです。釜援隊とは、先に挙げたリソースを活かしながら、地域内外の連携を促進し、持続可能な復興まちづくりを下支えするコーディネーター集団。釜石市が2013年4月に釜援隊を立ち上げ、現在14名が市内の地域づくりに関わる団体と共に活動しています。
釜援隊は、協議会方式で運営されていて、協議会は、釜石市の担当職員、釜援隊の事務局メンバー、復興支援に携わる一般社団法人のスタッフで構成されています。官民協働の運営がされていて、半官半民的に行政とも連携をしながら、それでいてフットワークが軽く、復興つながるタネがあれば、先駆的に取り組むことができます。
地域おこし協力隊の失敗事例
次の例は極端な例かも知れませんが、全くチャレンジができない、真逆の事例?!
参考リンク とある離島の地域おこし協力隊——「えっ…私の年収、低すぎ…?」 – Togetterまとめ
先日の地域おこし協力隊活動報告で発表会した長崎市への要望。次も協力隊を入れるならちゃんと考えて入れてね!と。
僕らの3年に対し市長は謝罪をしてくれましたが、実動部署からは特にそういうことはありませんでした。 #地域おこし協力隊 pic.twitter.com/9Hu3YAhD7b— 小島健一 (@kojimakenichi) September 2, 2014
読んでいるとなんだか悲しくなってきます。
しかし、行政側もこれまで行政以外の民間の人を入れた経験がなければ、彼らの持っているスキルや資質がどうすれば活かされるのか分かりません。
自分だけの価値を提供し、地域から必要とされる
やはり重要なのは、チャレンジできる環境があるかどうかという部分です。
事前に現地に赴き行政の担当者とあったり、先に着任している協力隊がいれば、彼らから直接話を聞くことができれば、どのような状況かつかむことはできるはず。
先に何ができるか、どの土地かというよりも、この地域だったら自分の力を余すことなくチャレンジできる環境にあるかどうかを見極めることが大切です。様々なチャレンジをする過程で自分自身の成長につながり、最終的には地域の成長にもなります。
地方で暮らしたいとことで、地域おこし協力隊を選ぶことがあるかも知れませんが、まずは任期中に自分の力を地域に活かすことができる環境があって、自分しか提供できない価値が生まれることで、地域からも必要とされて、その結果として定住・定着につながります。
(先月も関西地方からツアーで来て、森づくりの整備をお手伝い下さいました。)
被災地では、チャレンジできる環境があって、人手も求めていて、さらに自分の力だけではなく、外部からの様々なリソースが組み合わさり、かけ算的にプロジェクトが進んでいきます。被災地では、ハードの復興が進行していますが、これからは、心の復興とも言えるソフト的なまちづくりが必要となります。
三陸沿岸は、人口減少など今後他地域でも向える課題を先取りし、日本の地域再生のモデルづくりの先進地です。
地域おこし協力隊の応募の前に、被災地の復興支援員の募集もチェックしてみてはいかがでしょうか?
釜援隊の仕組みをもっと詳しく伝えます
来年度の釜援隊の隊員の募集の説明会と活動報告が東京であります。
地域おこし協力隊の応募を考えている方もぜひ。
復興と地方創生のあいだ。~釜石リージョナルコーディネーター活動報告・採用説明会@東京~
【日時】2015年2月18日(水) 19:00~20:30(開場18:30)
【場所】ちよだプラットフォームスクウェア(東京都千代田区神田錦町3‐21)
参考情報
復興支援員制度と地域づくりといえばこの本。(まだ未読、早く読まねば…)
コメント