災害時にも役立つ自作エコトイレ(コンポストトイレ)の仕組みと作り方

循環型のくらし

水も電気も使わずにウンチやオシッコを堆肥として循環するエコトイレの仕組みの紹介です。
別名、コンポストトイレとも言われます。(コンポスト=堆肥)
この仕組みを知っておくと、非常に時に水も電気も使えない状態でもある程度快適に使えるトイレをつくることができます。ぜひ、ご一読下さい。

今年、美術家の小池雅久さん(RIKI-TRIBAL主宰Facebook)を釜石にお招きしてボランティアの方々と一緒につくりました。

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屋根のてっぺんにいるのが小池さん

以前の記事で紹介した土のベッドのロケットストーブも小池さんと制作したものです。

場所は、根浜コミもりの一角。根浜地区にある宿「宝来館」のすぐ裏の森の入り口です。
釜石に来られた際には、見学に来て下さい。

エコトイレ(コンポストトイレ)の外観

写真で外観をご紹介します。

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右側の縦長の建物がエコトイレ

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屋根が特徴的なカタチ

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トイレの入り口

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扉を開けるとこんな感じ

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海の見える小窓

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屋根の裏側

今回使った材料

材料は、基本その辺のホームセンターでそろいます。
一応今回使った材料を挙げておきますが、機能だけ果たせれば、代替が可能です。

エコトイレ本体

全部購入したとして、資材費1万円ぐらいでしょうか。
あと、主な、工具類をざっと挙げておくと。穴開け用のドリル、カッターナイフ、レンチなどなど。
使う材料、作り方によって変わってきます。

トイレの建屋

製材所で角材をつくる際にカットされた端の板 軽トラで1つぐらい
(釜石だと「セッカ」といわれています。地元の製材所から無償でいただきました。感謝)

  • 間伐材(こちらも釜石森林組合さんから無償提供。)
  • ルーフィングシート
  • 角材
  • 釘、番線、蝶番など

作り方によって材料は変わってくるかと。

エコトイレ(コンポストトイレ)の仕組み

トイレ本体も建屋も作り方というか、集められる材料に合わせて、つくるという感じ。
肝心なのは、こちらで紹介する仕組みです。

エコトイレ(コンポストトイレ)の仕組みの肝は、オシッコとウンチを分離して管理すること。
オシッコの中にアンモニアが含まれていて、臭いの元となっています。
オシッコ用のトイレとウンチ用のトイレを分けて、2つ用意するという手もあります。
今回は、一つのトイレでオシッコとウンチを分けて処理する仕組みです。

全体の構成 三層式

全体の構成として、3階建ての構成になっています。

  1. 1層目(一番上) → トイレ室内
  2. 2層目(真ん中) → ウンチの管理場所
  3. 3層目(一番下) → オシッコの管理場所

なので、トイレの建屋を作る際には、例えば、以下の方法が考えられます。

  • 建屋を高床式につくって、トイレに入る際に少し階段を上ってもらう
  • 段差のある斜面につくって、斜面の上側にトイレ室内を製作、下側でウンチ、オシッコを管理

今回は、2つ目の方法を取りました。メインで使う平らな場所の端っこにちょうど大きな切り株があって、そこの下側にウンチ、オシッコを管理する場所がとれました。

3層目は、地面に穴を掘って、下に設置する方法もあります。2層目も地面の下につくることも可能ですが、大きなバケツや樽を取り出す必要があるので、オススメしません。

1層目 トイレ室内

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まずは、便器周り。
便座セットの下に青色のバケツが設置されていています。
バケツの底は抜いてあって、抜いた底を再利用して半分にカットして、尿と便を分ける仕切りにしてあります。
仕切りにしたパーツとバケツはシーリング剤で接着させています。
青色のバケツの下にプラスチックの黒い植木鉢がこちらも底を抜いてつけてあります。
植木鉢は全体の作り方によっては必要ありません。今回その下に便を受ける漬け物樽との隙間が大きかったので、便のガイド用としてつけてあります。

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そして、便座の前にあるホースが見えますが、便座に座った際に前側になる手前に分けたオシッコを抜く穴がバケツに空けてあって、3層目のタンクに流れるようになっています。

実際に、ウンチをした後は、土や腐葉土などを掛けます。そうすることで、臭いもすぐにしなくなりますし、ウンチの堆肥化も早くなります。(写真:左下の緑のバケツ)
トイレットペーパーは、トイレの中に入れないで、ゴミ箱を用意して、別にします。できれば、ふた付きのゴミ箱が良いです。(写真:右下の銀色のふた付きゴミ箱)

2層目 ウンチの管理

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1層目から落ちてきたウンチは、こちらの漬け物樽にたまります。
オシッコとウンチを分けるために今回は、樽を2つ重ねてあります。
内側の樽の底の端に穴が空けてあって、その穴の上に排水口用の網が取り付けてあります。
もし、間違って、ウンチ側にオシッコが入った時にこの穴でオシッコを分けます。

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外側の樽には、一番下に、オシッコを抜くためのホースを取り付ける塩ビパイプのパーツが取り付けてあります。
ネジが外側に切ってあるパーツを内側から入れて、出てきたネジの部分にゴムパッキンをかませます。そして、ネジが内側に切ってあるパーツをねじ込みます。そして、外側に塩ビの直管を差し込み、直管にホースをつなぎます。
ホースは、3層目のタンクへとつながっています。

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内側の樽 網の掛けている部分のアップ

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外側の樽の内部 ホースをつなぐ塩ビパーツ

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外側の樽の外部 塩ビパイプとホースを接続

樽の設置する場所ですが、樽を少し傾けてオシッコが流れやすくします。
内側の樽の穴と外側のホースがつないである部分の位置を合せておきます。
さらに、樽を置く面は、少し傾けておいて、一番下がっている部分に、ホースが出ている部分と合わせます。

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マジックで書いた印は、位置を合せるためのもの

あと、この2層目は、なるべく密閉しましょう。というのは、ウンチがあるとどうしてもハエが寄ってきます。
その対策として、今回、屋根の下地に使ったルーフィングシートが余っていたので、それを全面に張り巡らせました。

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張り巡らせたルーフィングシート

ウンチとオシッコを分けてあるので、余りにおいはしませんが、以下の方法で、においを抜くことができます。
電気があるところであれば、密閉した部分から臭気を抜くための煙突をつけて、換気用のファンを設置すると、ほとんどにおいがしなくなります。
電気がなくても、太陽の当たるところに煙突をつけて、黒く塗って、太陽が当たるとその熱で上昇気流が起こって、気温が高いときに、電気も使わずににおいを抜くことができます。
今回は、臭気抜きの煙突までつけていませんが、今後使ってみて、においが気になるようであれば、電気を使わない方法でやってみようかと考えています。

3層目 オシッコの管理

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一番下の部分です。
1層目と2層目で分けたオシッコがホースを伝って、ここに置いてあるポリタンクに貯まります。

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この部分は細工はないので、特に説明はありませんが、オシッコのにおいが気になるようであれば、2層目と同じように密閉します。今回は、屋外のトイレなので、とりあえず、していません。逆に風通しを良くしてあります。

貯まったウンチとオシッコの処理

樽に貯まったウンチは、取り出して、しばらく置いておいて堆肥化させます。
材料のリストに樽が3つになっているのは、残り一つが取り出した後の交換用になります。
取り出した樽は、そのまま置いて置いておいてもいいですが、フタをして、雨水が入らないようにします。
できれば、10cmぐらい穴を掘って、樽をひっくり返して置いて、地面に接しておくと堆肥が早くなります。
ウンチをした後に掛ける資材によっても、気温などによっても変わりますが、1年ぐらいおいておくと、すっかり土のようになっているはずです。直接土に触れる野菜などに使うのはちょっと抵抗があるので、果樹とか樹木の根回りにおいて肥料として使うのが良いです。

オシッコについては、10倍に水で薄めて植物のあるところにまきます。
原液のまままくと植物が枯れたりします。
薄めてまくのが、少し一苦労かかります。時間がないとすぐに処理できないこともあるので、ポリタンクも2つ用意しておくと良いです。

仕組みのおさらい

1層目「トイレ本体」オシッコとウンチを分ける

2層目「ウンチを管理」ウンチを貯めておく。混じったオシッコを分ける

3層目「オシッコを管理」オシッコを貯めておく。

細かい細工の説明を色々書きましたが、仕組みとしては、これだけです。

もっとシンプルな仕組み

仕組みの最初に書きましたが、最初からウンチとオシッコを分けてしてもらうのが簡単です。
そうすれば、先ほどたくさん書いた、オシッコとウンチを分ける細工をしなくても良くなります。
ウンチとオシッコをためるバケツを2つ用意しておいて、それぞれわけてしてもらう。これだけで、だいぶ臭いの問題が解決されます。最近あまり見ることがないですが、ぼっとん便所の臭いのひどさと言ったら、たまりません。

まとめ「循環型の暮らしは、災害にも強い」

今回ご紹介したエコトイレですが、最初パーマカルチャーというデザイン体系に出会って知りました。
パーマカルチャーには、循環型の暮らし方のデザインの考え方がぎゅっと詰まってます。
今回紹介したトイレもそうですが、生活に必要な重要な要素については、自分のみの周りで循環させたり、多様性を持たせることで、何かあったときでも生き延びることができます。
しかも、つながりが感じられることで、暮らしていて心地がいい。

パーマカルチャーが気になる方は、以下の書籍をご覧下さい。
最初の書籍には、以前スタッフをしていた森と風のがっこうの事例も登場しますよ。
都市にいても、取り入れることができるアイデアが満載です。

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